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不動産
不動産の相続について
東海東京ウェルス・コンサルティングの中野です。
皆様も「実家の相続が…」など不動産の相続に関連する話題を聞くこともあるかと思いますが、今回は「不動産の相続」、特に相続税に係る土地・建物等の評価について説明します。
東海東京ウェルス・コンサルティング株式会社
中野 裕
なかの ゆたか
相続財産に占める不動産の割合
平成27年12月に国税庁が発表した、平成26年度相続税の申告状況における「相続財産の金額構成比」を見ると、最も多いのが土地です。家屋を含めると不動産の割合は半分の約47%(土地51,469億円・家屋6,732億円)となります。20年前の平成6年の不動産の比率は約76%もありましたので、比較するとその構成は年々低くなってきていますが、引き続き位置付けの高い資産であることは変わりません。
「マイホーム」のコラム説明時に最近の地価の上昇についてふれさせて頂きましたが、地価の上昇に伴い相続税の不動産評価額も高くなる傾向にあります。平成27年の相続税増税も踏まえて相続対策を考えると、「不動産」をどのように活用するのかが非常に重要なポイントとなります。
■ 平成26年度相続申告状況
・年間相続発生件数 約127万人
・課税対象(被相続人)約5.6万人(課税割合4.4%)
・被相続人一人あたりの納税額 2,473万円
※「平成26年度分の相続税申告状況について(国税庁)」より
■ 平成26年度相続財産の金額構成比

※「国税庁資料をもとに東海東京ウェルス・コンサルティングが作成」
■ 相続税申告状況の推移

※「国税庁資料をもとに東海東京ウェルス・コンサルティングが作成」
相続対象となる不動産と不動産の相続税評価額について
次に、相続対象となる不動産(権利を含む)と不動産の相続税評価について説明します。
相談を受ける中で、親が居住していた家の土地・家屋だけでなく、田や山林を所有している場合もあり、相続対象不動産の中にどのような種別の不動産があるのか把握する必要があります。
■ 相続財産となる不動産(権利を含む)
土地 | 宅地 | 自作地・貸宅地も含む |
---|---|---|
畑 | ||
田 | ||
山林 | ||
その他土地 | 原野・雑種地等 | |
土地上の権利 | 田や畑小作権や永小作権 | |
宅地上の地上権や賃借権 | ||
家屋 | 家屋 | |
構築物 | 駐車場等 |
■ 不動産の相続税評価額
土地の価格は、「1物4価」と言われ、その用途により以下のように異なります。

※「東海東京ウェルス・コンサルティングが作成」
土地の相続税評価額は、路線価という毎年国税庁が公表する路線価図に記載されている価格に基づき算定されます。宅地の場合、公示価格の80%程度が目安となります。その他、路線価が設定されていない地域は、倍率方式という地域ごとに決められた倍率を固定資産税評価額に乗じて計算されます。また、家屋の場合は、固定資産税の計算のもととなる固定資産税評価額が相続税評価額となります。 自宅や更地などは路線価等がそのまま評価額となりますが、貸している土地(借地)、アパート等の賃貸家屋を建てている土地(貸家建付地)については、借地権割合、借家権割合により評価が引下げられます。よく所有する土地にアパート・マンションを建築して相続対策を行う話を聞くことがあるかと思いますが、これは相続税の計算上、土地は「貸家建付地評価」として時価のおおむね60〜70%程度の評価額となり、建物は「貸家評価」として時価のおおむね50%〜60%程度の評価額となるため、このような不動産を所有することで相続税の軽減が図れます。あわせて建物の建築資金を借入れて負の財産をつくることにより、相続税評価総額全体をさらに圧縮することができます。
土地 | 自宅土地 | 路線価または固定資産評価額×一定倍率 |
---|---|---|
貸家建付地 | 自用地の評価額×(1−借地権割合×借家権割合×賃貸割合) | |
建物等 | 自宅建物 | 固定資産税評価額 |
貸家 | 固定資産税評価額×(1−借家権割合×賃貸割合) |
相続軽減対策 小規模宅地等の評価減の特例について
その他、居住用宅地(自宅)、事業用宅地、不動産貸付用の土地については、一定の要件のもと相続税評価額が大幅に減額できる大変おトクな特例があります。それが「小規模宅地等の特例」です。この特例では自宅の土地の場合、一定の要件のもと330uまで評価額が80%減額となります。
■ 小規模宅地等の評価減の特例
種類 | 適用限度面積 | 減額割合 |
---|---|---|
一定の居住用宅地等 | 330u | 80%減額 |
一定の事業用宅地等 ※特定同族会社事業用宅地等を含む |
400u | 80%減額 |
不動産貸付用 | 200u | 50%減額 |
※上記特例を活用することで相続税が「ゼロ」となっても、相続税の申告は必要です。
※「東海東京ウェルス・コンサルティングが作成」
■ 試算例
例えば、6,000万円(300u)の自宅土地の場合、4,800万円が減額され1,200万円の評価となります。
@小規模宅地等の特例適用前 | 20万円/u×300u=6,000万円 |
---|---|
A小規模宅地等の特例評価減 | 20万円/u×300u×80%=4,800万円 |
B小規模宅地等の特例適用後 | @6,000万円―A4,800万円=1,200万円 |
※要件を満たした場合を前提とします。
小規模宅地等の特例の適用を受けるためには一定の要件があり、居住用宅地(自宅)の場合は以下の要件が必要となります。
■ 一定の居住用宅地等の適用要件

※「東海東京ウェルス・コンサルティングが作成」
不動産は高額な資産ですので、その評価額によって将来の相続税負担は大きく変わってきます。
相続対策を検討する上では
「保有する不動産の評価額はいくらになるのか」
「小規模宅地等の特例などは適用できるのか」
などを把握することが重要です。不明な場合は専門家に相談してみることをお勧めします。
不動産の相続は多くの方が経験する可能性があります。不動産は金融資産とは異なり、分割することは容易でなく、誰が承継するのか争うケースもあります。将来の相続に備え、どのような不動産が相続の対象となるのか、相続税評価額はどの程度なのか、相続人の内、誰が承継する可能性があるのか等早い段階より準備をしておくことが大切です。是非ご検討ください。
建設・不動産会社、銀行・証券会社での経験を活かして、お客様の様々な不動産ニーズにご対応させていただいております。日々の生活に大きな係わりを持つ不動産について、今後もお役に立つ情報を発信させていただきます。
現在は東海東京ウェルス・コンサルティング株式会社に在籍中。
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