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セカンドライフの資金計画 今できることからはじめよう
もう人ごとではない、
自分や親の介護に備える方法
こんにちは、FP&社会保険労務士の井戸です。5回にわたって、「セカンドライフの資金計画 今できることからはじめよう」と題して、年金、医療費、親の介護や自分の介護への備えについて知っておくべき情報や今から出来ることをお話いたします。
ファイナンシャル・プランナー
(CFP®)、社会保険労務士
井戸美枝
いど みえ
介護保険の改正でどう変わる? 自分や親の介護に備える方法
前回は老後の医療費がテーマでした。医療にかかるお金とならんで、介護にかかる費用も心配ですね。
厚生労働省「平成25年度 介護給付費実態調査の概況」によると、介護保険の受給者割合は、65〜69歳では男性2.5%女性2.0%ですが、加齢とともに急速に高まり、75〜79歳では男性9.0%女性11.0%、80〜84歳では男性17.7%女性27.2%、85歳〜89歳では男性31.7%女性48%となっています。介護は人ごとではありません。
そんな介護の経済的な負担を軽くする公的な制度が「介護保険制度」です。介護保険制度は3年ごとに見直されており、2015年の改正では、所得の多い人の自己負担額が増え、介護施設の利用条件が厳しくなりました。セカンドライフには誰にも関係するイベントとなってきた介護のこと。老後資金の見直しが必要となるかもしれませんので詳しくみてみましょう。
①65歳以上で一定以上の所得がある人は負担が増えます。
2000年に導入されて以来、介護保険は利用したサービスの1割負担が原則でした。しかし利用者が急増したため、2015年8月から、第1号保険者(65歳以上)のうち、収入から控除などを差し引いた所得が160万円以上の人は、原則2割負担に変更となります。
※介護保険の被保険者・受給者は下の図を参照してください。
図1 (被保険者・受給者の範囲)
65歳以上で一定以上の所得があると2割負担に

負担能力に応じて自己負担額を1割に留める救済措置もありますが、65歳以上の約5人に1人が2割負担になる見通しです。すでに65歳以上の介護サービス対象の方は、市区町村から送られてくる「負担割合証」で、自分が2割負担に該当するか確認できます。
②特別養護老人ホームなどの補助の条件が厳しくなります。
在宅での介護が難しい場合、施設で介護を受けることになります。 代表的な介護保険施設は以下の3つです。要介護1〜5の人が対象で、要支援は対象外です。
・介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム、通称「特養」)
・介護老人保健施設(通称「老健」)
・介護療養型医療施設(通称「療養病床」)
「特養」は生活介護中心、「老健」は介護・リハビリ中心、「療養病床」は医療中心の施設です。これらの施設への入所の条件と、食費や住居費に対する補助が厳しくなります。
図2(特別養護老人ホームなどの条件が厳しくなる)

では具体的に介護にかかる費用をみてみましょう。もっとも介護されている人の割合が多い「要介護2」(厚生労働省 平成25年度 介護給付費実態調査の概況より)で、毎月の介護保険の自己負担限度額は1万9616円です(1割負担)。これを超えた分は1割負担ではなく、全額負担となります。介護の平均期間は56.5ヶ月(生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」/平成24年度)ですので、「要介護2」の状態が続くと仮定すると介護保険の1割負担分の約110万8304円+限度額を超えた金額が必要となります。
注意が必要なのは、公的介護保険では対象とならないサービスの費用です。例えば、介護サービスの利用時間の延長や、家事代行、配食、介護タクシーなどのサービスは対象外です。介護保険の自己負担額とは別に、これらのサービスを受けた際には全額自己負担となります。公的介護保険の自己負担にプラス数万円程度はかかると思っておきましょう。
親が元気でいてくれる間はピンとこないものですが、実際に介護が必要になった時に、何をしなければいけないのかを知っておきましょう。介護認定を受ける、介護サービスを選ぶ(在宅サービス、通所系サービス、施設系サービスなど)、在宅介護の場合、だれがどのように在宅で介護を行うのかなど、あらかじめ家族と相談しておきましょう。
施設へ入居する場合は、どんな施設があるのか(特養や有料老人ホームなど)、どの地域で探すのか、費用はいくら支払えるのか(預貯金や不動産資産、年金額等)といったことも調べて、決めていくことになります。
また、親が遠方にお住まいの場合は、何かあった時に連絡がとれる方法を確保しておくことが大切です。地域に見守りサービスがあれば、利用するのも良いでしょう。
神戸市生まれ。 関西と東京に事務所を持ち、年50回以上搭乗するフリークエント・フライヤー。講演や執筆、テレビ、ラジオ出演などを通じ、生活に身近な経済問題をはじめ、年金・社会保障問題を専門とする。社会保障審議会企業年金部会委員。経済エッセイストとして活動し、人生の神髄はシンプルライフにあると信じる。
『世界一やさしい年金の本』(東洋経済新報社)『お金が貯まる人となぜか貯まらない人の習慣』(明日香出版社)『知らないと損をする国からもらえるお金の本』(角川SSC新書)『現役女子のおカネ計画』(時事通信社)など著書多数。
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