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大人対談【大人対談(第7回) 野口 健 × 南 美希子】

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【大人対談(第7回)】世界一の冒険家に学ぶ、夢をかなえるチカラ 野口 健 × 南 美希子

一か八かに賭けるという選択はあり得ない!

死への恐怖が生への執着を強くする

南

社会人の山岳会に入った後、16歳でのモンブラン登頂から始まって、当時の世界最年少記録、25歳で世界7大陸最高峰の登頂に成功します。そして、エベレストでの清掃活動に取り組み始めて……。ところで、エベレストには登山家のご遺体がたくさんあるそうですね。

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野口野口

最初の頃はびっくりしました。でも、何度も行っているうちに驚かなくなる。変な言い方ですが、エベレストと死体というのは風景として妙になじむんですよ。例えば、サバンナでシマウマがライオンに食われている。それは、一つの風景じゃないですか。ヒマラヤも同じで、死体が山の景観の中に溶け込んでいる。だからと言って恐くないわけではなくて、やはり死体を見ると死というものを感覚的に、うわっと感じるんです。

南

例えば、本の中に出てくる死や人伝に聞く死とは、全く違うものなのでしょうね。

野口野口

頭の中で描いた死とは全く違います。20歳の頃、年末に日本の山で先輩が600mくらい落ちたんです。雪深かったので全く近づけず、ゴールデンウィークになって、ようやく遺体を回収することができました。これが初めて僕が見た山の死体。ドロドロに腐敗していて大変な状態でした。山から下ろしてきたら、先輩の母親がその遺体を何の躊躇もなく抱きしめるんです。普通できないですよ。その光景を見て、死ぬってこういうことかと初めて理屈ぬきで感覚的に実感した。頭の中で知っていた死とはひどくギャップがあって、惨たらしい……。エベレストの死体も同じです。見ると感覚的に死が迫ってくる。そうすると、死にたくないという気持ちがグーッと心の底から湧き上がってくるんです。

南

ラテン語では「メメント・モリ」と言うそうですが、死との対比で自分の生を乗り切るという……。

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野口野口

人間は死というものを感覚的に実感しないと、もっと生きていたいと本気で思えないのかもしれません。動物は本能的に生きるということだけをとらえているでしょう。人間は、きっと死というものを感じたぶんだけ、生に対する執着心が強くなるのだと思う。ヒマラヤはどんなに気を付けても死ぬ時は死ぬ場所なので、登山家は命を粗末にしているとよく言われます。けれども実は、生への執着心が人一倍強い。ヒマラヤでは、20歳そこそこの若者たちが「将来、俺たちに何ができるのか」とか「何のために生まれて、何のために生きるのか」とか、死と隣り合わせのテントの中で真剣に語り合っているのです。

プロフェショナルの条件は生きて帰ること!

南

エベレストでは発狂してしまい、自分から飛び降りてしまう人もいるそうですが……。

野口野口

人間は精神の生き物なんでしょうね。僕のエベレスト登頂は1回目、2回目とダメで3回目に成功したのですが。3回目の時に一緒だった英国人の23歳の若者が飛び降りてしまったんです。死のイメージって強いんですね。人間はなかなか抗えない。よく駅で飛び込み自殺があるじゃないですか。飛んだ瞬間にしまったと思って逝った人が結構いると思います。山でもそうですが、スーッと死の側に呼ばれる、引かれる時があるんです。

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南

83歳の現役プロスキーヤー、三浦雄一郎さんも「死神の誘惑」ということをおっしゃっていました。それが危ないと。

野口野口

三浦さんが生き残って、植村さんは亡くなった。2人ともお金を集めて、数々の冒険を成功させたプロフェッショナルなのですが、植村さんは精神的にはアマチュアだったと思います。植村さんはお金をもらう、協賛をもらうと苦しくなるんです、申し訳ない、なにがなんでも登ろうとなるんですね。その点、三浦さんはちゃんと生きて帰るということを前提にしているはずです。挑戦する過程だけでも、社会的にも企業に対しても貢献できていると、いい意味で割り切っているのでしょう。僕はこれこそ、プロの態度だと思いますね。

南

野口さんも、そういう意味ではプロフェッショナルですね。

野口野口

“後はアタックするだけ”という頂上直下のテントの中で、アタックのタイミングを待っていると、微妙な天気というのがあるんですね。100%死ぬとわかる天気なら止めるのは簡単です。死ぬかも、でも何とかなるかもという天気がある。その時にアタックするかしないか、下りるか行くか。小さなテントの中にいる全員が悩み、悲壮感が漂う。しばらく沈黙があって、誰かが「一か八かやろうか」と言うと、みんながメラメラと興奮状態に陥るんです。ギャンブルに賭けたくなる。「よし、やろう」と興奮してみんな出ていく。これが山の遭難の一つのパターンなんです。

南

賭けに興奮するのが、先程おっしゃったアマチュア的ということなのでしょうね。

野口野口

僕の場合は、一か八かと行きかけた時にチラッとワッペンが目に入る。その瞬間、「俺には死ぬ自由がない」と改めて気付くんですね。要するに、自分のお金で行っていれば、死んでも「あ、そう」で終わりなんです。基本的に山は自己責任ですから。でも、ワッペンを付けて遭難すると、そのスポンサーがかならずバッシングされるんです。「あの会社に殺された」などと叩かれて大変な迷惑がかかる。だから僕には、一か八かに賭けるという選択はあり得ないのです。

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プロフィール

野口 健

1973年アメリカ・ボストン市生まれ。亜細亜大学卒業。植村直己氏の著書に感銘を受け、登山を始める。99年エベレスト(ネパール側)の登頂に成功し、7大陸最高峰世界最年少登頂記録を25歳で樹立。以降、エベレストや富士山に散乱するゴミ問題に着目して清掃登山を開始。2007年エベレストのチベット側から登頂に成功。近年は地球温暖化による氷河の融解防止に向けた対策、日本兵の遺骨収集活動などにも尽力。亜細亜大学客員教授、了徳寺大学客員教授、東京都レンジャー名誉隊長、山梨県富士山レンジャー名誉隊長。

南美希子

1956年、東京都生まれ。聖心女子大学国語国文科3年時にアナウンサー試験に合格し、テレビ朝日に入社。情報・クイズ・歌番組などを主に担当し、特に伝説のOL向け情報番組「OH!エルくらぶ」の司会を長年務め「元祖女子アナ」として広く知られている。現在は、テレビ・ラジオをはじめ、エッセイストとしても活躍中。ビジネススキル、美容、恋愛、女性の生き方、ワークライフバランスなどをテーマに講演も行う。

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